膝前十字靭帯損傷

膝前十字靭帯損傷とは

膝の前十字靭帯は、膝関節の真ん中で大腿骨（太ももの骨）と脛骨（すねの骨）をつなぐ、強靭なコラーゲンの繊維束です。膝関節内で十字に交差した2本の靭帯のうち、前方に位置しているものを膝前十字靭帯と呼びます。
ジャンプの着地（バスケットボール、バレーボール、ハンドボールなど）、急激な方向転換（バスケットボールやサッカーなど）で受傷する非接触型損傷が多いですが、他選手との接触（ラグビーやアメリカンフットボール、柔道など）などで受傷する場合もあります。

治療方針

前十字靭帯は一度損傷するとほとんど治癒しません。緩んだままの状態で、ジャンプ、着地、ターン、ストップなどを必要とするスポーツを行った場合、膝がずれ、その衝撃で転倒する「膝くずれ」を起こす可能性が高くなります。前十字靱帯損傷を放置するとパフォーマンスが低下するだけでなく、関節軟骨や半月板の損傷を招く恐れがあるため、原則手術治療をお勧めしています。

前十字靭帯再建術

当院では、ハムストリング腱を用いた解剖学的二重束再建術を第一選択に、格闘家や重量系選手には楕円骨孔の骨付き膝蓋腱による再建術を選択するなど、競技や体格に応じた手術を選択して行います。適切なリハビリテーションにて受傷時よりも高いパフォーマンスでのスポーツ復帰を目指します。我々のチームは多くのトップアスリートの再建術を行っており最も得意としている治療の一つです。

術後リハビリテーション

手術後のリハビリテーションは、安全な範囲でできる限り早くに膝関節の可動域を回復させ、大腿を中心とした筋力を回復させることが重要です。しかし、骨にあけた穴と再建靭帯が癒合し、ある程度の強さに回復するまでに時間がかかるため、移植腱が弱い状態で過度の負荷をかけると再断裂の危険性があります。そのため、決められたプログラムを守って再建靭帯を十分に保護しながらリハビリを進めることが大切です。
理学療法士が軸となり、個々の病状に合わせたリハビリメニューを作成いたします。